【癌分子標的薬（最新薬治療）】PI3K阻害剤国民的人気ゲームで解説】

こんにちは、プログレです。

こちらの記事では、癌分子標的薬（薬の治療）において注目されている、PI3K阻害剤の作用・メカニズムについて説明します。

例え話が国民的人気ゲームです。

製薬業界で10年以上働いており、今では製薬会社の管理職についている筆者が分かりやすく説明します。

PI3Kとは？
リン酸化とは？
Akt/プロテインキナーゼBとは？
どんな癌の原因になるの？
あとがき

PI3Kとは？

PI3Kは、細胞膜の構成成分であるイノシトールリン脂質をリン酸化する酵素である。この過程で産生されたPI3,4,5-三リン酸（PIP3）が、癌遺伝子の1つであるAktをリン酸化する。Aktはがん組織で活性化することから、Aktの生存促進作用が、細胞の癌化に関連していることが分かっている。PI3Kは、この経路を通じて受容体のシグナルを細胞内へ伝達し、癌細胞の増殖・浸潤、ならびに抗癌剤への耐性獲得に関係していると考えられている。

PI3K阻害薬の開発、各社で進行中中外製薬が2つ目の臨床試験開始 | がん治療の情報サイト｜がん治療.com

中外製薬株式会社（本社東京都中央区）は、PI3K阻害薬であるtaselisibの固形癌を対象とした国内フェー

リン酸化とは？

主にセリン、スレオニンまたはチロシン残基上でのタンパク質の可逆的リン酸化は、翻訳後修飾の中でも非常に重要性が高く、詳細に研究されています。リン酸化は細胞周期、増殖、アポトーシス、シグナル伝達経路といった様々な細胞プロセスの調節において重要な役割を果たしています。

リン酸化 | Thermo Fisher Scientific - JP

Akt/プロテインキナーゼBとは？

Aktの構造、機能およびシグナル伝達
セリン/スレオニンキナーゼAkt（プロテインキナーゼBとも呼ばれる）は、広範囲に影響を及ぼすシグナル伝達ネットワークの中心的存在（収束ノード）です。本酵素は、プロテインキナーゼのAGCファミリーのメンバーで、60種類以上のヒトプロテインキナーゼが含まれます。Akt活性化はこれらの細胞シグナル伝達経路のマスタースイッチとして機能し、さまざまな下流ターゲットや相互作用パートナーを介して数多くの細胞内反応を引き起こします。Aktは細胞シグナル伝達における中心的役割を果たし、これらのシグナル伝達の異常はがんおよび糖尿病から神経変性に至る広範囲の疾患に影響を及ぼします。そのため、Aktは、基礎研究および薬剤開発の両分野において最も積極的に研究されているキナーゼの一つです

Thermo Fisher Scientific 【いまさら聞けないがんの基礎 8】PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路とは？
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/cancer8/#AktB

＊画像をクリックすると引用したリンクへ移動することができます

話していることが分かるような分からないような…
もう少し噛み砕いて説明してくれませんか？

もちろんです。
Aktはラスボスです。今でも不動の人気ゲーム「マリオ」だと「クッパ」。
Akt（クッパ）だとしましょう。
クッパはここの話だと、魔法のボタンがあるんです。
その魔法のボタンを押すと、クッパが甦って恐ろしく暴走▶︎マリオレベルじゃ太刀打ちできない。

唯一のステージ攻略は、クッパを蘇らせずに通過することです。
でも、クリボー、ノコノコ、パックンフラワー、テレサ（おばけ）が総出となって、魔法のボタンを押しに行くのです。

時間の経過ともに、
✅　敵は増えて
✅　敵も強く、
なってしまいます（；＿；）

一番簡単な攻略が、「敵に厄介なものを渡さず潰す」です。
一番早いのが落ちている「羽」をいち早くゲットすることです。
クリボー、ノコノコにしても「羽がついている」のと「羽なし」を比べると、厄介レベルが違います。
「羽」をゲットするだけでこのステージはクリアできるのです。
この「羽」っていうのが、PI3Kです。
敵が「羽」をゲットすると、クッパを蘇らせるように悪い方向に一気に話が展開してしまいます。
細かくいうと、本来はPI3kはマリオの味方なのですが、クリボーやノコノコ（イノシトールリン脂質）の手に渡ると、突然変異して悪い方向に進んでしまいます。

敵が面倒なレベルになって潰すより、ダッシュして「羽」ゲット▶︎簡単に攻略できるゲームです。

少しはご理解が進みましたでしょうか？今回紹介した、PI3K阻害剤をマリオに例えて、オリジナルゲームを紹介しました。

どんな癌の原因になるの？

PIK3CA（触媒ドメイン p110α）変異を持つヒト腫瘍タイプ
・乳房
・子宮内膜尿路
・子宮頸部皮膚
・卵巣
・胃
・胆道
・上気道
・小腸
・食道
PIK3R1（調節ドメイン）変異を持つヒト腫瘍タイプ
・子宮内膜結腸直腸子宮頸部
・上気道
・中枢神経系
・髄膜
・乳房
・食道
・尿路
・肺
・卵巣
・肝臓