【実例ありで分かりやすい】E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&Aの改正について【11〜15】

副作用報告等

こちらの記事では、「E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&Aの改正について」例示を用いて説明します。
分かりやすい言葉で説明します。

筆者情報

製薬業界12年以上勤務をしており、今は管理職に就いています。
小さな会社なので、守備範囲も広く、毎日新しいことにチャレンジしてながら、フルタイムで働き2歳と4歳の子育てをしています。

解説する通知

令和2年12月9日
事務連絡
E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び 治験副作用等報告に関する Q&A の改正について

・医薬品副作用全ての通知はこちらのPMDAサイトからチェック可
副作用等の報告に関する情報

表の見方

【市販後】:市販後副作用報告に関係する内容
【治験】:治験副作用報告に関係する内容

Q&A詳細

Q11:【市販後】 医師から次のような報告があった場合、感染症報告は必要か?
①血液製剤によるウイルス肝炎
②無顆粒球症に伴う敗血症
③抗生物質の使用の結果起きる菌交代症
④ワクチン投与に伴う無菌性髄膜炎
⑤抗生物質使用中の MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)感染
⑥医薬品等の使用中に起きた新興感染症
A11:【市販後】
(1)①については、感染症報告が必要である。
(2)②~④については、従前から副作用として報告を求めており、今後も同様に報告すること。
(3)⑤については、症例報告として報告する必要はないが、抗生物質の使用に伴う当 該抗生物質への耐性菌に関し、その耐性メカニズムや出現傾向の変化等に係る知見については、研究報告として扱うべきかどうか、PMDA 医薬品安全対策第一部又は医薬品安全対策第二部に個別に相談すること。
(4)⑥については、感染症報告が必要である。国内症例であるか外国症例であるかに かかわらず患者の症状等の詳細情報について調査するとともに、診断根拠を明確に すること。 また、当該事例が起きた場合は、PMDA 医薬品安全対策第一部又は医薬品安全対策第二部(体外診断用医薬品の場合は、医療機器品質管理・安全対策部)に個別に相談するこ と。
補足:
感染症:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚、鼻腔などの体表面に定着します。特に鼻腔には10~40%くらい定着しています。普段は害がないのですが、皮膚を切ったり、刺されたりすることで感染が起きます。
MRSAは医療関連感染の代表的な原因菌の一つですが、欧米では市中感染型のMRSA感染症も増えています。病院内では抗菌薬の暴露、他の患者さんとの接触、院内伝播によって黄色ブドウ球菌の耐性菌の比率が高くなるため、呼吸器感染症、菌血症、術後感染症などが起こりやすくなります。(徳洲会グループのサイトより引用)
Q12:【市販後】 MID-NET 等の医療情報データベースを用いた調査で有害事象の発現を知ったが、対応表が存在せず、元の医療情報に遡ることができない。この場合において、副作用等 報告・感染症報告を行う必要があるか? A12:【市販後】 医療情報データベースにおいて、元の医療情報との照合を可能にする対応表が存在しない場合、元の医療情報に遡らないことを前提に情報の提供がなされているものであり、 追加情報の調査を行わずとも差し支えない。また、対応表が存在しない医療情報データ ベースから得られた情報については、個別の症例ごとの副作用・感染症を報告する必要はない
Q13:【治験】 被験薬及び被験薬以外の治験使用薬について、報告が必要な症例と報告期限はどのように考えればよいか? A13:【治験】 被験薬及び被験薬以外の治験使用薬について、報告が必要な症例とその報告期限は以下のとおりである。

<国内治験症例>

予測性 重篤性 一変以外 一変※
被験薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 7 日 7 日
その他重篤 15 日 15 日
既知 死亡・死亡につながるおそれ 15 日 15 日
その他重篤 不要 不要
被疑薬以外の治験使用薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 7 日 7 日
その他重篤 15 日 15 日
既知 死亡・死亡につながるおそれ 15 日 15 日
その他重篤 その他重篤 不要 不要

<外国で実施された臨床試験における症例>

予測性 重篤性 当該被験薬を使用する場合 当該被験薬を使用しない場合
一変以外 一変※ 一変以外 一変※
被験薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 7 日 不要
その他重篤 15 日 不要
既知 死亡・死亡につながるおそれ 15 日 不要
その他重篤 不要 不要
被験薬以外 の治験使用薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 7 日 不要 不要 不要
その他重篤 15 日 不要 不要 不要
既知 死亡・死亡につながるおそれ 15 日 不要 不要 不要
その他重篤 不要 不要 不要 不要

<外国における使用(臨床試験における使用を除く。)で生じた症例>

予測性 重篤性 一変以外 一変※
被疑薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 7 日 不要
その他重篤 15 日 不要
既知 死亡・死亡につながるおそれ 15 日 不要
その他重篤 不要 不要
被験薬以外の治験使用薬 未知 死亡・死亡につながるおそれ 不要 不要
その他重篤 不要 不要
既知 死亡・死亡につながるおそれ 不要 不要
その他重篤 不要 不要

※ 用法若しくは用量又は効能若しくは効果に関する追加、変更又は削除に係る承認事項の一部変更の承認申請に用いる治験に限る。

補足:青字の部分(外国で実施された臨床試験における症例で治験使用薬)の解説。
今後は、被疑薬+治験使用薬 ▶︎ 治験使用薬と副作用が重篤 = 報告対象になる。
治験使用薬として治験届を提出して、初めてここが適応される。

【安全性通知解説】治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて【分かりやすい】

Q14:【治験】 二重盲検による報告症例で盲検解除の結果、被験薬が投与されていないことが判明した場合の報告について、どのように報告すればよいか?

A.治験使用薬が被験薬のみの試験において、初報を盲検中である被験薬のみで報告しており、追加情報により、以下の場合
A-1.被疑薬がプラセボのみ
A-2.外国の臨床試験由来の症例で、被疑薬が国内治験では使用していない対照薬 (治験使用薬以外の薬物)

B.治験使用薬を複数使用する試験において、初報を盲検中である被験薬のみで報告しており、追加情報により、以下の場合
B-1.被疑薬がプラセボ及び治験使用薬

C.初報を盲検中である被験薬及び他の治験使用薬が報告対象で報告しており、追加情報により、以下の場合
C-1.被疑薬がプラセボ及び治験使用薬
C-2.被疑薬がプラセボ及び治験使用薬以外の薬物

A14:【治験】

 

A-1.治験使用薬が投与されていないため、取下げ報告を行う。
A-2.治験使用薬が投与されていないため、取下げ報告を行う。(被疑薬である対照薬は国内治験では使用していない対照薬〈治験使用薬以外の薬物〉であるため、報告対象ではない

B-1.被験薬は投与されていないが、被疑薬として報告対象の治験使用薬が残るため、追加報告を行う

C-1.被験薬は投与されていないが、被疑薬として報告対象の治験使用薬が残るため、追加報告を行う

C-2.被験薬は投与されていないが、報告対象の治験使用薬が投与されているため、報告対象外として追加報告を行う。

つまり、盲検試験でプラセボでも、治験使用薬が投薬されていたら、「取下げ報告」、「報告対象外」としての追加報告はいらないんだね

Q15:【治験】 当該症例は存在しているが、治験責任医師から一旦報告された有害事象が再考等により、削除された結果、報告対象の有害事象がなくなった場合の報告はどのようにすればよいか? A15:【治験】 当該事象そのものが存在しなかった場合は、「症例そのものが存在しなかった場合」と 同様に取下げ報告を行うこと。ただし、当該事象以外に報告対象の有害事象が存在する場合(報告対象であった有害事象の因果関係が否定された場合や重篤性などが変更された場合を含む)はこの限りではない。
補足:報告をするために必要な最低限必要な4条件
① 患者さんを識別できる情報(イニシャル、年齢(XX歳代)、子供、小児、中年、高齢など)、性別等のいずれか)
② 情報源(医師、薬剤師、その他の医療専門家、消費者、文献、機構など)
③ 副作用名
④ 疑われる医薬品名この4つが揃っていないと、症例として報告が出来ず、追加報告する上で「なかった」と判明したら、取下げ報告。(例:二重盲検試験で、④医薬品がプラセボだった)

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