【実例ありで分かりやすい】E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&Aの改正について【21〜25】

副作用報告等

こちらの記事では、「E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&Aの改正について」例示を用いて説明します。
分かりやすい言葉で説明します。

筆者情報

製薬業界12年以上勤務をしており、今は管理職に就いています。
小さな会社なので、守備範囲も広く、毎日新しいことにチャレンジしてながら、フルタイムで働き2歳と4歳の子育てをしています。

解説する通知

令和2年12月9日
事務連絡
E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び 治験副作用等報告に関する Q&A の改正について

・医薬品副作用全ての通知はこちらのPMDAサイトからチェック可
副作用等の報告に関する情報

表の見方

【市販後】:市販後副作用報告に関係する内容
【治験】:治験副作用報告に関係する内容

Q&A詳細

Q21:【市販後】 「使用上の注意」の記載では予測できない副作用とはどのように判断するのか? A21:【市販後】 E2D ガイドライン中「2.4 予測できない副作用」に基づき、使用上の注意に鑑み判断 すること。
補足:E2D ガイドライン中「2.4 予測できない副作用」に書かれていること
▶︎副作用のうち、その性質、重症度、特異性又は転帰が各国又は地域の添付文書(例えば、Package Insert 又は Summary of Product Characteristics 等)の記載内容に一致しないものは、予測できない副作用とみなすべきである。製造販売業者(Marketing Authorisation Holder (MAH))がある副作用について予測できるか否か確信が持てない場合は、当該副作用は予測できないものとして取り扱われるべきである。
当該国又は地域の添付文書に記載されている副作用でも、致命的な転帰となるおそれがあることが明記されていない限り、致命的な転帰を伴う当該副作用は予測できない副作用と判断すべきである。
「同種同効薬共通の副作用」として添付文書に記載されているからといって、対象となる医薬品について、自動的に当該副作用が予測できるものとなると考えるべきではない。「同種同効薬共通の副作用」は、当該国又は地域の添付文書に、当該医薬品によって生じることが明確に記載されている場合にのみ、予測できると考えるべきである。以下にそのような例を示す。:
・ 「この系統の他の医薬品と同じく、医薬品 X では以下の望ましくない作用が生じる」
・ 「医薬品 X を含むこの系統の医薬品は、・・・を引き起こす」
その副作用が医薬品 X について記載されていない場合、下記のような記載が添付文書に見られることが多い:
・ 「この系統の他の医薬品では・・・を引き起こすことが報告されており」
・ 「この系統の医薬品では・・・を引き起こすことが報告されているが、医薬品 X についてはこれまで報告されていない」このような状況では、当該副作用は医薬品 X について予測できると判断すべきではない。注:企業中核安全性情報(Company Core Safety Information)で用いられる副作用の「記載/未記載(listedness)」という概念は規制当局への緊急報告の判断には適用しない(定義に関してはICH E2Cガイドライン(平成 9 年 3 月 27 日付薬安第 32 号厚生省薬務局安全課長通知)を参照のこと)。
通知が新しくなり、こちらから確認可
承認後の安全性情報の取扱い:緊急報告のための用語の定義と報告の基準平成 25 年 5 月 17 日

用語 定義の出所 定義/コメント
企業中核安全性情報(CCSI) ICH E2C ガイドライン MAH によって作成される CCDS 中に含まれ、各国 の規制当局が特に修正を要求する場合を除いて、製品を販売しているすべての国において、MAH が記載することを求めているすべての関連安全性情報。これは市販製品の定期的な報告のために「記載されて いる(listed)」かまたは「未記載(unlisted)」かを決定するための参照情報であり、緊急報告の際の「予測できる(expected)」かまたは「予測できない(unexpected)」かを決定するための参照情報ではない。

結局PMDAへの報告において、添付文書だけが新規性判断の基準となるってことだね

Q22:【市販後】 市販後局長通知において、『「使用上の注意等から予測することができないもの」 とは、使用上の注意等の「警告」、「重要な基本的注意」、「相互作用」、「副作用」等に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質又は症状の程度、特異 性等が記載内容と一致しないものであること。』とされているが、「使用上の注意等に記載されていてもその性質又は症状の程度、特異性等が記載内容と一致しないもの」 とはどのような場合があるか? A22:【市販後】 例えば、以下のような場合が該当する。
(1)使用上の注意に記載されている副作用名と名称が類似しているものの重症度や発現機序が異なる副作用が発現した場合(「肝炎」 ⇒ 「劇症肝炎」〔使用上の注意に「肝炎」が記載されていて、「劇症肝炎」が発現した場合〕、「貧血」 ⇒ 「再生不良性貧血」、「白血球減少、赤血球減少、血小板減少」 ⇒ 「汎血球減少」、「白血球減少(顆粒球減少)」⇒ 「無顆粒球症」、「下痢」 ⇒ 「脱水、電解質異常を伴う下痢」等)
(2)使用上の注意に記載されている以上に特定されている(限定的な)副作用が発現した場合(「急性腎不全」⇒「間質性腎炎」等) (3)検査値異常が記載されていても、検査値異常と共に他の症状を伴っている場合 (「血清カリウム低下」⇒「脱力、不整脈を伴う血清カリウム低下」等)
なお、記載された副作用に通常随伴する症状、徴候は使用上の注意から予測可能である。(例えば、「ショック」⇒「ショックに伴う血圧低下、心拍数増加、尿量低下」、 「再生不良性貧血」⇒「再生不良性貧血に伴う顔面蒼白、疲労感」等)
補足:argus-Jで新規性判断を自動的に行うことができます。その場合完全一致で既知になるって機械的な手法だから報告漏れは発生しません
Q23:【市販後】 外国で報告された副作用の予測性の判断は、該当する国内添付文書の使用上の注意に基づいて行うことでよいか? A23:【市販後】 よい。
補足:医薬品は「①アメリカで先に承認 ②日本で承認 が多いため、承認取得に向けた照会事項対応で、その時点のアメリカ・EUの添付文書と比較した資料を提示されます。日本では日本人やアジア人の統計に基づいた副作用情報を添付文書に記載するなど、外国の添付文書と記載内容がかなり異なってきます。
Q24:【治験】 治験局長通知において、『「当該被験薬の治験薬概要書又は当該被験薬以外の当該治験使用薬等についての既存の科学的知見から予測できないもの」とは、副作用等の評価時点における最新の予測性判断に使用する資料(治験薬概要書、科学的知見を記載した文書(添付文書、インタビューフォーム、学術論文等)。以下「治験薬概要書等」という。)に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質、症状 の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないものであること。』とされているが、「副作用等の評価時点における最新の予測性判断に使用する資料に記載されていてもその性質、症状の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないもの」とは何か? A24:【治験】 平成7年3月20日付け薬審第227号厚生省薬務局審査課長通知「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」に示すように、治験薬概要書等に記載されている以上に特定されている(限定的)か、又は重症である事象は予測できないものが該当する。 例えば、治験薬概要書等に「急性腎不全」が記載されていて「間質性腎炎」が報告された場合、「間質性腎炎」は治験薬概要書等から予測できないものと判断する。 「肝炎」に対する「劇症肝炎」、「貧血」に対する「再生不良性貧血」、「白血球減少症、赤血球減少症、血小板減少症」に対する「汎血球減少症」、「白血球減少症(顆粒球減少症)」に対する「無顆粒球症」、「下痢」に対する「脱水、電解質異常を伴う下痢」等も同様である。 また、検査値異常が記載されていても、検査値異常と共に他の症状を伴っている場 合(例えば、「血清カリウム低下」に対する「脱力、不整脈を伴う血清カリウム低 下」)も同様である。 なお、記載された副作用に通常随伴する症状、徴候は治験薬概要書等から予測可能 である。(例えば、「ショック」については「ショックに伴う血圧低下、心拍数増加、 尿量低下」、「再生不良性貧血」については「再生不良性貧血に伴う顔面蒼白、疲労感」等が該当する。)

補足:Q22とほぼ同じことが書かれています。

Q25:【治験】 二重盲検比較試験中に発生した副作用を未開鍵のまま「治験副作用等報告」として報告し、未開鍵のまま治験薬概要書に反映させ、治験実施医療機関にも報告したが、 その後、同じ副作用が発生した場合、当該副作用は治験薬概要書から予測できるものとなるか、治験薬概要書から予測できないものとなるか? A25:【治験】 未開鍵のまま「治験副作用等報告」として報告し、治験薬概要書に反映させ、かつ治験実施医療機関に伝達した場合、それ以降は治験薬概要書から予測できるものと取 り扱うことができる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました